Roy

    カンヌライオンズに行ってきて思ったこと01

    カンヌライオン2011にBirdman代表で行ってきました。
    まず、一番残念だったのは時間が全然足らなかったこと。今回近畿ツーリストのツアーで6日間コース、10日間コースがあったのだが選んだのは6日間コース。つまり4泊6日だ。

    これ多く見えるのだが、実際に行ってみると全然時間がない。まず、CMのスクリーニングがカテゴリーごとに分かれてやっているため膨大にある。木曜日まではショートリストに入っていない物も含めてすべての応募作品が流されるので、数も膨大にある。1カテゴリーにつき全部見るのに2時間くらいは費やされる勢いだ。ショートリストにも入っていない物を見てどうすんの?と思われるかもしれないが、結構これが重要でカンヌに来ている醍醐味とも言える。すべての映像を見ていると優秀な作品はみんなが反応するのだ。拍手したり笑ったり反応が起こる。

    ショートリストに入っていない物を含めずーっと流して見ていると訴求内容が明確でシンプルな物が多かった。つまり詰め込み過ぎず、一つに絞ったことを訴求する。まあ、当たり前なのだが。。。後は下ネタはみんな基本ウケる感じ。。。とにかくフィルムは色んなアイディアが一気に見れるのでとても刺激を受けた。

    Filmのグランプリ ※制作予算50億円だって。。。汗
    Nike “Write The Future” Wieden+Kennedy Amsterdam

    Volkswagen “Force” Deutsch Inc. Los Angeles
    Volkswagenはこれ以外でも全体的にクリエイティビティーが高くて好きでした。

    一番下のフロアではIntegratedやプリント、Out Doorなどの展示が並んでいる。これも数が非常に多い。今年から?はショートリスト以上の受賞作品が展示されていた。その中でも気になった物はTwitterでその都度あげてみたのだが、ここでまとめてみる。

    一番自分的に好きだと思ったのが韓国のメディアライオンのグランプリを取ったTESCO HOME PLUS。店舗数を増やさずにどうやって売り上げを伸ばすか、という課題に対し、バーチャルストアでオンラインの売り上げを伸ばした。実物大の大きさの商品達が並ぶポスターにはそれぞれ商品と一緒にバーコードが記載されている。このバーコードをスマートフォンで読み込むとオンラインストアにつながり、品物が自分の家に届くという仕組みだ。このポスターを置く場所によってそこが店舗に早変わりするというわけだ。たとえば、地下鉄の通路にポスターを貼った場合仕事帰りにわざわざ店舗に行かなくてもポスターから購入できる。

    これがオンラインストアとどう違うかっていうと、気付きがある部分だと思う。AmazonなどのOnlineストアは自分があれが欲しいという明確な目的がはじめにあってからの行動なのだが、この施策は仕事の帰り道が商品に囲まれた通路になることによって、まるでお店の中に通路があるような状況になり「あ、これ買っておかなきゃ」、「あこれ、もう無かった」、みたいな状況が圧倒的に増えるわけだ。おなかすいていたら衝動買いも増えるだろう。実際にインフラとかを整えなければならないし、色々大変だとは思うのだが、自分がなんでこれを気に入っているかというと、ユーザの行動自体がデザインされているからだ。超イノベーティブなアイディアか、というとそうでも無いと思うのだが、こんなの普通にできるよね、今までなかったっけ?と思わせるところがまた悔しい。

    ちょっと長くなったのでやっぱり少しずつBlogをアップしていこうと思うのだが、もう一つだけ紹介する。何ライオンだったっけ?グランプリに輝いたROMというチョコレートバーのルーマニアでのキャンペーン。

    このROMというお菓子はルーマニア製なのだが最近Snickersなどのアメリカのチョコレートバーに押され気味でなんとかして売り上げを奪還したいという課題だった。で、彼らがとった施策というのがほんとすごい。ルーマニア製のチョコレートバーROMがアメリカに寝返った的なキャンペーンを仕掛けた。パッケージから広告、すべてをルーマニアではなくアメリカンROMに変えてしまったのだ。当然どういうことだと人々は怒り、反感/反響を呼んだ。これをさらに後押しするべく、WEBなどでこの怒りの意見などを投稿させみんなが議論できる場を作った。つまり一度注目をさせるためにわざとアメリカに乗っ取られたような体で反感を買い、愛国心をつついた訳だ。そしてその話題がマックスのタイミングの1週間後にROMはやはりアメリカンじゃなくてルーマニアの物だ!ということをすべての広告を一気に変更し愛国心をあおり、注目を集めブランド認知、好感度、売り上げともに大きく上向きに変えた。ぶっちゃけこのキャンペーン、日本じゃ絶対通用しない。だって日本人てあまり愛国心を外に出さないし、羊羹がアメリカンパッケージとかになっても見向きしないと思うし。

    でもここで何がすごいのかっていうと、このキャンペーンで行こう!と決めたクライアントの英断がすごい。。。。こんな賭みたいなキャンペーンでよく実施しようと思ったな。。それよりすごいのはエージェンシーがどういうプレゼンでクライアントをこのキャンペーンで行こう!という英断をさせるに至ったかが知りたい。ものすごい資料とかを用意してこのキャンペーンは絶対成功するデータをかき集めたのだろうか。。。下手したらブランドとその会社そのものの信頼さえも無くしかねないこのキャンペーンを行ったこと自体がものすごいことだ。

    また作品は少しずつ紹介していくのですが、今回カンヌに行ってもっとも感じたことはもっと大きなスケールで考えるということ。紹介した上の2つのキャンペーンもそうだけど、こじんまりと考えていると絶対にこういう発想って出てこない。それに通じる考えとしては、伝えたいことを過大解釈して伝えるという手法を、中途半端にやるんじゃなくて、途方もなくスケールをでかくして伝えるとおもしろいってことかなー。手法の一つでしかないかもしれないけど、伝えたいことを絞ってその絞った情報をとてつもなく大きい(過剰に拡大した)形で伝えるというのはおもしろいと思ったし、そういうアホなことをすごい金を使ってやる的なことはどんどんやっていきたいと強く思った。

    とりあえず今回はここまで。
    カンヌから戻る飛行機の中から。